2010年10月19日火曜日

「ネトゲ廃人」vs「ネトゲ廃女」著者激論(週刊東洋経済2010年10月9 日号より転載)




週刊東洋経済2010年10月9 日号 
http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/toyo/detail/BI/5284b06414325a344ae57e9ce423edbe/ 
携帯ゲームバブル!で終わらない 
ネット「新」金脈 

週刊東洋経済2010年10月9日号p.69~p.71の転載です. 
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「ネトゲ廃人」vs.「ネトゲ廃女」著者激論 

小学生から主婦まで・・・ 
深刻な「廃人」の実態 

ネットゲームに膨大な時間を費やして,社会に適応できなくなった 
「ネトゲ廃人」たち.その知られざる実像を,北海道から九州まで 
取材し著書にまとめた芦崎治氏,ネットゲームにはまる主婦の実態 
をリポートした石川結貴氏は携帯ゲームの危険性にも警鐘を鳴らす. 

芦崎 『ネトゲ廃人』はネットゲームが日本に登場してから,ちょう 
ど10年という節目の現状報告となった.拙著では19人の「廃人」を 
取り上げたが,偶然かもしれないが,1978年生まれが多かった.彼ら 
は20歳前後にネットゲームの洗礼を受けている. 
彼らがはまったのは,パソコンや家庭用ゲーム機で行う,「MMORPG 
」(多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム)というタ 
イプのゲーム.米国発の『ウルティマオンライン』が皮切りだが, 
2002年の『ファイナルファンタジー(FF)XI』の登場で一挙にユーザー 
が広まった. 

石川 あとはNTTの深夜定額プラン「テレホーダイ」の登場も大きい. 
定額となる夜の11時から,一斉にネットゲームにつなぐユーザーが 
急増した. 

芦崎 ネットゲーム,とりわけMMORPGにはまるユーザーは,頭がよく 
,努力家で向上心がある.経験値を積んでレベルを上げるには忍耐力 
も必要だ. 

石川 同感だ.私が取材した「廃女」たちは全員手芸が好きだった. 
こつこつ編み物をすることと,RPGでポイントを貯めていく行為は 
そっくり.彼女たちはみな,すごくまじめそうだった. 

芦崎 そうしたまじめな性格,責任感の強い人ほどはまりやすい.た 
とえばFFXIはオンライン上の6人1組でモンスターを倒す旅に出る物語 
だが,1人抜けると途端にゲーム効率が落ちる.皆それを知っている 
ので,眠くなっても,疲れても抜けられない.限界が来てパソコンの 
前で「落ちる」までやめられない. 

石川 だから責任感の強い人のほうが抜けられない.抜けたら仲間に 
悪いなと思うとドンドンのめり込んでしまう.こうしたゲームの設定 
が,日本人のまじめなメンタリティと妙にマッチしてしまっている. 
また多くのゲームのストーリーは王子と王女が手を携えて困難を 
乗り越えて苦難に立ち向かっていくといったもので現実以上に盛り 
上がる. 

芦崎 現実ではしがないサラリーマンで誰も相手にしてくれないのに 
,夜は皆から憧れられる王子様.ゲームにのめり込むと,リアルな 
社会生活が意味なくなってしまう. 

ドア開けたまま用足しゲームのために手術も 

芦崎 ネットゲーム依存は30代・理科系・独身男性が多いといわれる 
が,実際に会ってみると美人で聡明な女性も多かった. 
取材したフェリス女学院大出身の華やかな女性も,のめり込んだ 
時期はボサボサ髪のパジャマ姿でコンビニに買い物に行き,3日分の 
菓子パンを買ってきてゲームをし続けるような状態だったという. 
化粧にも洋服にも興味がなくなり,リアルな物欲がまったくなくな 
った自分に驚いた,と語っていた. 

石川 10年間ネットゲームに依存し続けた,30代の主婦を取材した. 
彼女も結婚時には,数年後には出産して子育てを頑張ろうと考えて 
いたが,実際はそうした生活設計をすべてなげうって,ひたすら10 
年間,ゲームに打ち込んだ. 
トイレに行きたくなってもゲームが気になり,ドアを開け放した 
ままで用を足したという.日中から部屋のカーテンをすべて閉め 
切っていたため視力も悪化したが,ゲームに集中するために,視力 
回復手術の「レーシック」を受けた. 

芦崎 韓国製人気ネットゲーム『リネージュII』にはまった札幌の 
男性は,強くなるために有料アイテムをドンドン購入し,結局, 
消費者金融に600万円の借金を作り,今は行方知れずになっている. 

石川 ネットゲームにはエンディングがないうえ,世界中とつながっ 
ており,いつでも誰かがプレイしている.24時間,エンドレス.オフ 
ラインの従来型のゲームとはその点がまるで異なる. 

芦崎 それゆえに取材で会った人でも,誰一人として完全にネットゲ 
ームをやめることができた人はいなかった.取材時は熱意のある中学 
の担任教師のおかげでゲーム依存から抜け出し,人気高に合格した男 
性も,結局その後高校を中退し,元のゲーム中心の生活に逆戻りして 
いた. 

石川 ネットゲーム依存は貧困家庭特有の問題とする議論もあるが, 
それはまったく当を得ていない.経済的余裕がないとパソコンを買え 
ないし,とりわけ最新のゲームを楽しむには高機能のマシンが不可欠 
だ. 

携帯ゲームにはまる主婦ネグレクトやトラブルも 
「主婦が熱中する要素が満載」 

芦崎 主にパソコンで行うMMORPGにのめり込む「廃人」は今後も一定 
の数は出るだろうが,より広く社会的な問題になりそうなのが,携帯 
電話を利用した無料ネットゲーム(携帯ゲーム)の台頭だ. 

石川 携帯ゲームにのめり込む主婦はものすごい勢いで増えている. 
『ネトゲ廃女』で取り上げたのも,20代から最年長は58歳までと世代 
も幅広い.「引きこもり」などとは異なり,はたから見るとわかりに 
くいが,彼女たちはネットゲームがつねに生活の中心となっている. 
実を言うと,最初に芦崎さんのご本を拝読したときは,「主婦がゲ 
ームにはまるなんて本当なんだろうか?」と半信半疑だった.年長 
主婦を取材してきたが,主婦のメンタリティとゲームは私の中でま 
ったく結び付かなかった.主婦は現実的な思考をするので,ゲーム 
のような非生産的なことに時間を費やすことはありえない,と考えて 
いた. 
ところが実際に取材してみると,逆に主婦ほどネットゲームにはま 
りやすい人種はいないだろうと痛感した.それほど携帯ゲームには主 
婦が夢中になる要素が凝縮されている. 
まず大手のグリーやモバゲータウンをはじめ,入り口段階ではほと 
んど無料なのに,ありとあらゆるゲームがそろっている.同時にコ 
ミュニティで話し相手を見つけ,バーチャルで結婚,出産,子育て. 
果ては不倫までできる.さらに懸賞サイトのリンクやポイント制の 
導入など主婦の好みを徹底的に盛り込んでいる.多少なりとも好奇心 
があったら,はまらないほうがむしろおかしいぐらいだ. 

芦崎 僕が取材した中でも,夫と子どもを送り出した後,一日中ネッ 
トゲームをして過ごす主婦がいた.彼女は食事を用意したり,子ども 
と遊んだりするのもおっくうになっていった.結局,夕食はいつも 
手軽なカレーかおでん,夜は8時には無理やり子どもを寝かしつけ, 
ゲームの世界に没頭していた. 
「ウチの子はゲームに理解があって」なんて語っていたが,その罪 
深さをまったく認識していない.子育てはご飯を食べさせ,お風呂に 
入れればそれで済む,というたぐいのものではない.子どもを欲しが 
る夫に子育てゲームを渡した主婦もいた. 

石川 名古屋のある主婦は,自分の親がすぐ隣に住んでいて,親に子 
どもを預けて朝から晩までネットゲーム三昧という生活だった.孫が 
かわいそうだからしようがないと面倒みてしまうと,それが既成事実 
になってしまう子どもと違って,主婦は大人なので,基本的に本人が 
自覚する以外どうにもならない. 
まだ大きく事件化していないが,ネットゲーム依存に陥った家庭に 
おけるネグレクト(育児放棄・虐待)は確実に起きている.実際,母親 
がネットゲームで知り合った男と実子を虐待死させた事件を取材して 
いるが,2人が出会ったのは,大手携帯ゲームサイトのコミュニティ 
だった. 

芦崎 男女間のトラブルも少なくない.暇な主婦がネットゲームで知 
り合った男性と軽い気持ちでデートしたら,恋愛にウブな引きこもり 
系のゲーマーで,その後ストーカー化した,なんて話は数え切れない 
ぐらいある.ネットゲームはゲームの中だけでは終われない. 

石川 主婦だけの話ではない.小学生がネットゲームで出会った大人 
に性的関係を迫られるなど,犯罪の温床になりつつある. 
小中学生の女の子に人気のサイトを見ると,顔は隠していても,一 
目で小学生とわかる写真が無数掲載されている.ファッションセンス 
を採点する名目だが掲示板機能もあり,出会い系サイトと同様の機能 
を果たしている. 

芦崎 ネットゲーム先進国の韓国ではすでに,ゲーム上で知り合った 
男による,女児誘拐事件が発生している.日本でも小学生のネットゲ 
ーム利用は着実に増えており,事件化は時間の問題だろう. 

アジア各国で問題化親から子への連鎖も 
「ネトゲを完全に絶つのは困難」 

石川 60~70代の高齢者向けネットゲームも流行している.将棋や 
麻雀といったゲームだけでなく,コミュニティサイトでの孫自慢など 
利用者間の交流も盛んだ. 
ただ若者と同様に女性をめぐって利用者同士のいざこざが生じたり 
,高齢者特有の問題としては振り込め詐欺なども発生している. 

芦崎 ネットゲーム依存は韓国,中国,ベトナム,タイと,アジア各 
国で相次いで社会問題となっている.なかでもすでに10人以上の死者 
が出ている韓国では対策も進んでいる.政府機関が中学生を対象とし 
た脱依存の合宿を実施したり,徴兵制があるので,軍の中に依存を 
矯正する優れたプログラムを用意したりしている.韓国のプログラム 
を中国も利用し,ベトナムも活用するようだ. 

石川 逆に言えば,そのぐらいの強制力がないと,ネットゲーム依存 
から抜け出すのはものすごく難しい.ゲーム依存に陥った親の元で 
まともに子どもが育つかは疑問で,負のスパイラルとなりかねない. 

芦崎 ただネット社会化は止まらずネットゲーム悪者論では何も進 
まない.その光と影を学校教育の現場できちんと教えることが肝要 
だ.それこそ元ネトゲ廃人を講師として学校に派遣してはどうだろう 
か. 

石川 同じくネットゲームを一概に否定するつもりはない.ただそれ 
により多額の借金を負ったり,おカネを稼ぐためのめり込んだりとい 
った,「ギャンブル化」の流れだけはなんとしても止めないと,取り 
返しのつかない事態が生じかねない. 
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